副所長 田中一誠が時代を読み解く
副所長の部屋
みなさんこんにちは。漸くあの暑かった夏も終わりを告げ、秋らしくなって参りましたがいかがお過ごしでしょうか。 さて、10月1日に安部総理より大方の予想通り来年4月1日からの消費税の増税が発表されました。平成26年4月1日より消費税が5%から8%に上がることが正式に決まりました。今回は消費税増税が平成27年10月1日からの10%への増税が予定されており短期間で2回の税率変更が予定されています。 今後の注目点は平成26年度の税制改正にシフトしていくわけですが、消費税に関連して、くすぶっている問題が低所得者対策としての消費税の軽減税率の導入の問題です。欧州などでは軽減税率が導入されていますが、対象品目の線引きがかなり複雑です。 一見して消費税の軽減税率については消費者の視点から一見歓迎されそうですが、果たしてそうでしょうか?今回の消費税の増税は日本が直面している少子高齢化に伴って年々増加している社会保障費を賄うためと説明されています。政府の説明通りに社会保障費が増大するかは議論の余地もあるでしょうが、2015年にはいわゆる団塊の世代が65歳以上になることもあり、社会保障費が今よりも減るということは考えずらいと思います。 そのようななか軽減税率を導入すれば増税の効果がその分減ることになりますので、その減収分をどこからか調達しなければなりません。そこで消費税の普通税率が増えたり他の税目で徴収するということになるかと思います。結果として、税制がより複雑になり事業者の皆様の経理業務などの負担が増加することになりかねません。 また、軽減税率適用品目の範囲を確定させることも困難です。例えば軽減税率を導入している諸外国では、サンドイッチを持ち帰れば食品なので軽減税率、その場で食べると外食なので普通税率であったり、チョコレートならカカオの含有量で税率が異なったりします。他にも国内産業を保護するために軽減税率が用いられている場合もあります。 新聞関係団体はあれだけ新聞の社説等などで消費税の増税について言及していたにもかかわらず、新聞については軽減税率の適用を主張していますし、それぞれの業界で軽減税率の適用を求める声は制度導入が具体化される局面で大きくなっていくことが予想されます。まだ、導入は未確定ですが、導入するのであれば、変な力関係で軽減税率の対象品目が決まらないことを願うばかりです。 私としましては、税制自体が複雑になりますの、消費税の増税に伴う低所得層への対策は税以外の方法、例えば簡易給付などの方法で行ってほしいと強く思います。 |