副所長 田中一誠が時代を読み解く
副所長の部屋
みなさんこんにちは。暑い夏も終わりをつげ、朝晩は肌寒くなってまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか?今日からいよいよ10月、おくんちの季節ですね。長崎くんちの熱気に負けないように我々も頑張らなければなりませんね。 さて、わが国の税制は基本的に12月に政権政党から税制改正大綱が発表され、それに基づいて法律案が作成し、1月の通常国会で審議を経て、3月までに国会で可決され、4月1日から制度の変更が行われます(政治の状況によって若干異なる場合もあります)。 先日、消費税増税後の措置の財務省の考え方が新聞に掲載され、新聞やテレビを賑わせたことは記憶に新しいところです。これまで、このホームページで軽減税率について導入反対の立場でコメントしましたが、今回の財務省案は個人的には評価できると考えています。 しかし、軽減税率では本来税負担が十分に可能な層にも恩恵が生じてしまうことになります。収入が多くなれば食費の割合は確かに減少するはずですが、使う額は収入が多くなるほど多くなると想定されます(節約される方もおられるでしょうが)。つまり、軽減率ではどの所得層でも同じですが、軽減額では高額所得者の方が恩恵が大きいと思われます。 2つ目として、諸外国で軽減税率を設けているところでは、普通税率が日本より高い率となっています。今回の増税で10%が予定されていますが、今後、欧州並みに15%や20%になった場合には、例えば割と高額な電化製品や車や自宅を購入するときの負担は大きくなります。 では、軽減税率は全く意味のない制度であるかといえば、そういうわけでもありません。低所得者の保護という観点では、その効果は疑問ですが、特定の産業を保護するためには絶大な効果が期待できると思います。諸外国では、例えばバターを保護するために軽減税率にし、マーガリンを普通税率にしている国もあります。その場合には、同じ代金であれば軽減税率を課された商品ほど安く買えますので、効果は充分でしょう。 そういえば、軽減税率を求めている品目に新聞があったと思います。以前、あれだけ紙面で消費税の増税を主張していた新聞が、自らは軽減税率を求めているところに、疑問もありますね。そういえば政権政党の支持母体に新聞があったような…。
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