新証券税制の概要
 個人投資家にとって使い勝手の良い投資環境を整え、証券市場を活性化させることを目指して、今回、証券税制が改正された。それぞれの事情に合わせて時限措置や個々の事情に対応して優遇措置が設けられたことでしくみが複雑になっている。
証券税制の改正のポイント

(1)       源泉分離課税の廃止

(2)       優遇制度

(3)       特定口座制度

税制改正の適用時期
源泉・申告選択 申 告 分 離 一 本 化
2001 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11
13年分 14年 15年 16年 17年 18年 19年 20年 21年 22年 23年
源泉分離課税
申告分離課税
損失の繰越控除
80%相当額とする  みなし取得費特例
100万円特別  控除特例
緊急措置    優遇措置

                                                

 (1)源泉分離課税は廃止、申告分離で税率が下がる

@ 従来は源泉分離か申告分離方式の選択制だったが、源泉分離課税は平成141231日をもって廃止され、平成15日以降は申告分離課税に一本化されることになった。
A 平成15日以降に申告分離課税の税率が引き下げられる。
上場株式等にかかる譲渡所得等に対する税率の引き下げ
現行26% → 平成15年から20%(住民税5%)
一年超保有上場株式等に係る譲渡所得等の暫定税率特例創設
平成15年〜平成17年までの年間に限り10%(住民税3%)の軽減税率が適用される。
未公開株式等の申告分離課税の税率については、現行と同様26%の税率が適用される。

 
(2)多彩な非課税扱いの優遇措置

@ 長期(一年超)保有上場株式等の100万円特別控除の延長等
所有期間が一年を超える長期保有上場株式等の譲渡所得について設けられていた100万円特別控除が平成171231日まで延長された。
A 緊急優遇措置
平成131130日〜平成141231日までの間に購入した上場株式等で購入額の合計額が1000万円に達するものを平成17・18・19年の間に譲渡した場合には、その譲渡所得については一定の要件の下で非課税となる。
ただし、譲渡した年の翌年1月1日から3月15日までの間に『特定上場等非課税適用選択申告書』の提出が必要となる。
B 譲渡損失の繰越控除制度の導入
平成15日以後に上場株式等を譲渡したことにより生じた損失金額のうち、その年に控除しきれない金額がある場合には、翌年以後3年間に渡り、一定の要件の下、株式等の譲渡所得等の金額から繰越控除することができる。

 
(3) 特定口座制度導入   証券会社のサポートを積極活用

今回の税制改正で譲渡益に対して課税されるシステムとなり、確定申告することが原則となった。このように株式投資の税金に関する面倒な手続きが付随することになり、個人投資家が株式離れを起こすのではとの懸念から特定口座による簡易納税制度が導入された。
これは証券会社に専用の特定口座を開設し、証券会社が特定口座内の株取引に伴う税額計算をする制度である。
所得税の簡易な申告可能にする特定口座が平成15日からスタートする。
特定口座を開設するには別途『申し込み』が必要になり平成14日から準備口座の受付が開始される。
 
 
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