平成23年度税制改正  



 平成23年度税制改正法案の一部が成立しましたので、改めてお知らせ
致します。
 前回お知らせした改正案の目玉として注目されていた相続税や法人税の
改正は合意がなされずそのまま先送りになっています。
 6月22日に成立した主な改正は次のようになります。



      


法人税関係

 
 
@ 法人税率の引下げ

     
  当初、目玉の一つとされていた税率の引下げといった減税が先送りになりました。
 ただし、中小企業の軽減税率は18%のまま延長された為、従来通りとなります。
     (平成24年3月31日の間に終了する事業年度まで)
               

法人税率
年間所得金額800万以下
普通法人 30%
中小法人 30% 22%(18%)
公益法人・単体協同組合等 22% (18%)
     


 A法人税の中間申告
   (平成24年4月1日以後に開始する事業年度から適用)

 
  中間申告対象期間(半年間)を一事業年度とみなして仮決算による法人税
    の中間申告については、一定の場合、中間申告書の提出ができなくなりました。
     
   (一定の場合)
     ・「前事業年度の確定法人税額×6/12」の金額が
      10万円以下である場合、またはその金額がない場合

     ・仮決算による中間申告書に記載すべき法人税額が
     「前事業年度の確定法人税額×6/12」を超える場合


     ※前事業年度が12ヶ月に満たない場合は「前事業年度の確定法人税
     額÷前事業年度の月数×6」  


            

 Bその他 改正内容


  ・
従業員を増やした場合に減税となる制度の創設
   (平成23年4月1日から平成26年3月31日開始する事業年度 適用)

  エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却
  又は特別税額控除制度の創設

   
(平成23年6月1日から平成26年3月31日までに取得して、取得から
    1年以内に事業用として使った場合 適用)


  試験研究を行った場合の特別税額控除の特例の延長
   
(平成24年3月31日までの間に開始する事業年度まで 適用)

  ・中小企業等基盤強化税制の延長
   (平成24年3月31日まで 延長)

  ・
医療用機器等の特別償却制度の償却割合を引き下げのうえ、延長
  
 (平成25年3月31日まで 延長)

  ・高齢瀬や向け優良賃貸住宅の割り増し償却制度について、割増率
   を28%としたうえ、延長

  
 (平成25年3月31日まで 延長)
  
  ・
特定の資産の買換の場合等の課税の特例について、対象区域等を
  見直したうえ、延長(所得税も同様)

  
 (平成26年3月31日まで 延長)






所得税関係

 
 
@ NPO法人等への寄附が減税されます
    
(平成23年分以後の所得税から適用されます。)

    
 個人が認定NPO法人や一定の要件を満たす公益社団法人等に2,000円を超える
     寄附をした場合、一定の金額が所得税から差し引かれます。
     (所得控除との選択適用)


   差し引かれる金額=(寄附金額−2,000円)×40%

 
    ※ただし、総所得金額の25%が限度。

 A その他 改正内容


  ・
上場株式等の配当・譲渡所得等の軽減税率(10%)の延長
   平成25年12月31日まで 延長)

  年金所得者の申告不要制度の創設
   
(平成23年分以後の所得税から 適用)

  電子申告に対する所得税額の特別控除の延長
   (平成24年分の所得税まで  適用)








消費税関係

 
 
@ 免税事業者の要件の見直し
    
    
 消費税の免税事業者のうち、下記の「特定期間」の課税売上高が1,000万円を超
    える事業者は、免税点制度が適用されません。

   (特定期間)
    ・個人事業者のその年の前年1月1日から6月30日までの期間

    ・法人のその事業年度の前事業年度(7ヶ月以下のものを除く)
    開始の日から6ヶ月間の期間

    ・法人のその事業年度の前事業年度が7ヶ月以下の場合で、
    その事業年度の前々事業年度の開始の日から6ヶ月間の期間



A その他 改正内容


  ・
仕入税額控除の「95%ルール」の見直し
   (平成24年4月1日以後に開始する課税期間から 適用)






相続税関係

 
 
@ 住宅取得等資金贈与の非課税対象の拡大
    (平成23年1月1日以後の贈与により取得する財産に係る贈与税から適用)
    
   
 相続税の基礎控除の引き下げや税率区分の見直しなどは先送りとなっています。 

  しかし、父母・祖父母(直系に限る)から住宅を取得するための資金を贈与された場合の増税の非課税措置について、非課税となる住宅取得等資金の範囲が「先行して土地を取得するための資金」まで拡大されました。





その他

 
 

 不動産譲渡契約書の印紙税率の特例延長
   (平成25年3月31日まで 延長)


  
故意の確定申告書不提出によるほ脱犯の創設
   (公布 平成23年6月30日)から2ヶ月を経過した日以後の違反から 適用)






先送りとなった事項






法人税関係

 
 @給与所得控除の見直し

  
・給与所得控除の上限設定
   その年中の給与等の収入金額が1,500万円を越える一般従業員の
   所得控除額については、245万円の上限が設ける予定。

   ・役員給与等に係る所得控除の見直し
   その年中の給与等のうち、支払者の役員等が受ける役員給与等の
   収入金額が2,000万円を越える場合の所得控除は、徐々に減額と
   なる予定

   


 A成年扶養控除の対象を限定

    ・23歳から69歳までの成年扶養親族の扶養控除の一部を廃止
       次に該当する人のみを成年扶養控除の対象者とすることと
       する予定
                    ↓
     
特定成年扶養親族
      1.年齢65歳以上70歳未満の人
      2.心身の障害等の事情を抱える一定の人
      3.勤労学生控除の対象となる学校等の学生・生徒等
     
以外の成年扶養親族
      その年の合計所得金額が400万以下(給与568万円)である所得者
      の成年扶養親族に限る








相続税・贈与税関係 

  
 @相続税の基礎控除の引下げと税率区分の見直し

    基礎控除
      
3,000万円 + (600万円×法定相続人の数)
     従前5.000万円    従前1,000万円 

     ・死亡保険金に係る非課税限度額
       
500万円×法定相続人の数
         ※法定相続人・・・
未成年者、障害者又は相続開始直前に
                    おいて被相続人と生計を一にしていた
                    者に限定

     ・相続税の税率区分の見直し
       最高税率が55%に引き上げられ、税率区分が現行の6段階から
       8段階に改める予定。

     ・未成年者控除、障害者控除の引上げ予定 
    



 
A相続時精算課税制度の見直し

    適用条件の拡充
     
イ.受贈者の範囲に、20歳以上である孫が追加する予定。
      ロ.贈与者の年齢要件が
60歳以上に引下げ予定

      ・相続時精算課税制度の対象とならない贈与財産に係る贈与税
       の税率区分の見直し (減税)予定
  

 







その他

 
 @更正の請求期間の延長(1年→5年)


 A税務調査の文書による事前通知

 



以上、TKC 「事務所通信9月号」より


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