平成23年度税制改正  



 今回の震災による財源確保の為、法人税5%引き下げなどを盛り込んだ
税制改正法案が大幅に修正されるようです。
なお、つなぎ法案の可決により、税制改正は6月30日まで先送りになりました。
決定後、改めてお知らせ致します。


  下記は法案修正前の改正事項です。

      


国税・地方税を合わせた法人実行税率の5%引き下げ

 
 
@ 法人税率の引下げ

   
法人税基本税率(国税)が従前の30%から25.5%へ引下げられます。
   (適用 平成23年4月1日以後開始事業年度から)
   
住民税・事業税は約0.5%の引下げ、実効税率は40.69%から   
   35.64%(東京都)へと約5%の引下げになります。

               

従 前 改正後
年間所得金額800万以下 年間所得金額800万以下
普通法人 30%
中小法人 30% 22%(18%) 25.5% 19%(15%
公益法人・単体協同組合等 22% (18%) 19% (15%)
連結協同組合等 23% (19%) 20% (16%)


   
「従前」のカッコ・・・租税特別措置法により平成21年4月1日から
               同23年3月31日までに終了する事業年度に適用


   「改正後」のカッコ・・・租税
特別措置法により平成23年4月1日から
                同26年3月31日までに開始する事業年度に適用
                (特例期間3年間延長)




 A中小法人の軽減税率を15%に引下げ

   中小法人の所得金額のうち年800万以下の部分に適用される軽減税率
   が
15%(従前18%)に引き下げられ本則税率は19%(従前22%)に引き
   下げられます。
 
    
   



 B減価償却制度の縮減


   平成23年4月1日以後に取得する減価償却資産の定率法の償却率は、
    定額法の償却率(1/耐用年数)の200%(従前250%)とされます。
     
     ※償却率 2.5倍を 2.0倍と変更することにより取得当初の
      減価償却費の計上が抑制されることになります。

     耐用年数10年の機械装置1,000の年間償却費
       改正前(250%定率法)・・・1,000×0.250=250
       改正案(200%定率法)・・・1,000×0.200=200 



  

 
C青色欠損金の繰越控除制度・貸倒引当金制度の
  見直し


   
青色欠損金の繰越期間が7年から9年に延長されます。
      ただし、その欠損金が生じた事業年度の
帳簿書類の保存
      必要です。
      (適用 平成20年4月1日以後に終了した事業年度に
           生じた欠損金額)


     ・中小法人等以外の法人については、繰越控除や貸倒引当金 
      制度に制限・限定があります。




 D寄付金の損金算入限度額の引下げ

   資本金等の額の0.25%に所得の2.5%を加えたものの2分の1が
   損金算入されていましたが、改正後4分の1に引下げられます。





 E雇用促進税制の創設

   平成23年4月1日から同26年3月31日迄の間に開始する各事業年度
   において、従業員を増やした企業に対し、その
増加人数に応じて法人税
   等が減税される制度
が創設されます。
   
   要件
   雇用保険一般被保険者が前事業年度末に比べ10%以上かつ5人
   (中小企業者等は2人以上)以上の増加
   
   公共職業安定所に「雇用促進計画」を提出し、確認されれば、1人当たり
   が
20万円(上限額は法人税額の10%、中小企業者等は20%)
   法人税額から控除
できます。(所得税も同様)
   法人住民税についても同様です。



            





給与所得控除の見直しなどにより高所得者層に負担増

 
 @給与所得控除の見直し

  
・給与所得控除の上限設定
   その年中の給与等の収入金額が1,500万円を越える一般従業員の
   所得控除額については、245万円の上限が設けられます。

   ・役員給与等に係る所得控除の見直し
   その年中の給与等のうち、支払者の役員等が受ける役員給与等の
   収入金額が2,000万円を越える場合の所得控除は、徐々に減額と
   なります。

    
(適用 平成24年分以後の所得税及び平成25年度分以後の
          個人住民税について)



 A役員等の退職金の課税方法の見直し

    勤続年数5年以下の役員退職手当等に係る退職所得の課税方法に
    ついて所得控除額を控除した残額の2分の1とする措置が廃止
    また、退職所得に係る個人住民税の10%税額控除は廃止されます。



  B成年扶養控除の対象を限定

    ・23歳から69歳までの成年扶養親族の扶養控除の一部を廃止
       次に該当する人のみを成年扶養控除の対象者とすることと
       されました。
                    ↓
     
特定成年扶養親族
      1.年齢65歳以上70歳未満の人
      2.心身の障害等の事情を抱える一定の人
      3.勤労学生控除の対象となる学校等の学生・生徒等
     
以外の成年扶養親族
      その年の合計所得金額が400万以下(給与568万円)である所得者
      の成年扶養親族に限る

     (適用 平成24年分以後の所得税及び平成25年度分以後の
          個人住民税について)

       
 






相続税の控除縮小 

  
  ・・・遺産から差し引く基礎控除額を4割圧縮
     

 @相続税の基礎控除の引下げと税率区分の見直し

    基礎控除
      
3,000万円 + (600万円×法定相続人の数)
     従前5.000万円    従前1,000万円 

     ・死亡保険金に係る非課税限度額
       
500万円×法定相続人の数
         ※法定相続人・・・
未成年者、障害者又は相続開始直前に
                    おいて被相続人と生計を一にしていた
                    者に限定

     ・相続税の税率区分の見直し
       最高税率が55%に引き上げられ、税率区分が現行の6段階から
       8段階に改められます。

     ・未成年者控除、障害者控除の引上げ 
      

     (適用 平成23年4月1日以後の相続又は遺贈により取得する財産
         に係る相続税について)



 A相続時精算課税制度の見直し

    適用条件の拡充
     
イ.受贈者の範囲に、20歳以上である孫が追加されます。
      ロ.贈与者の年齢要件が
60歳以上に引下げられます。

      ・相続時精算課税制度の対象とならない贈与財産に係る贈与税
       の税率区分の見直し
 (減税)
          

    (適用 平成23年1月1日以後の贈与により取得する財産
         の贈与税について)


     
※相続税の基礎控除額の引下げ、最高税率の引上げ、各種控除
      の引き下げなど、制度が始まった昭和33年以来初めてという
      相続税の抜本的な見直しが行われます。

     

 

 





消費税の免税事業者の要件見直し

 
 @消費税の見直し

  
・免税事業者の判定に当たっては基準期間の課税売上高に加え、
    
前年の上半期の課税売上高も加味
    
   ・課税売上高が
上半期で1千万を越える場合には、翌期から課税
    事業者
に該当

       次に掲げる課税売上高が1,000万円を越える事業者に
        ついては、免税点制度が適用されないことになります。

        @個人事業者のその年の前年1月1日から6月30日
          迄の間の課税売上高
 
        A法人のその事業年度の前事業年度(7ケ月以下は除く)
          開始の日から6ケ月間の課税売上高

        B法人のその事業年度の前事業年度が7ケ月以下の場合で、
          その事業年度の前1年内に開始した前々事業年度がある
          時はその前々事業年度の開始の日から6ケ月間の課税
          売上高 
                       ↑
           上記の適用に当たっては、事業者は、課税売上高に
           代えて所得税法に規定する給与等の支払額を用いる
           事ができます。
   

    (適用 上記の「その年」又は「その事業年度」が平成24年10月1日
          以後に開始するものについて)


 




以上、TKC 「改正税法特集号」  より


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