平成20年度税制改正  減価償却 〜耐用年数〜

昨年、平成19年に続き、当年も減価償却制度の抜本的な改正が行われました。

平成20年度改正事項は、減価償却資産の耐用年数等の見直しになっております。


〜改正点〜
( ) 別表第一 「機械及び装置()()の有形減価償却資産の耐用年数表」に資産(構築物

に構造が農林業用のものと金属造のもの露天式立体駐車設備、工具及び備品にきのこ栽

培用ほだ木と無人駐車管理装置)の追加。
 
別表第二 「機械及び装置の耐用年数表」の区分が、390区分から55区分に改正されました。
 
別表第四 「生物の耐用年数表」に資産、キウイフルーツ樹及びブルーベリー樹の追加と

耐用年数の見直し。
 
別表第五 「公害防止用減価償却資産の耐用年数表」が『旧別表第五』と『旧別表第六』の

統合となり、新たな耐用年数表になりました。
 
旧別表第七 「農林業用減価償却資産の耐用年数表」が削除、『別表第一』及び

『別表第二』へ統合、整理されました。
 
( ) 『旧別表第十一』「平成19年3月31日()()に取得をされた減価償却資産の

残存割合表」が別表第九になり、その中の『別表第四に掲げる生物』の欄が改正されました。
 
その他
 旧別表第八「開発研究用減価償却資産の耐用年数表」は別表第六へ、

 旧別表第九「平成19年3月31日()()に取得をされた減価償却資産の償却率表」は

 別表第七へ、旧別表第十「平成19年4月1日()()に取得をされた減価償却資産の

 償却率、改訂償却率及び保証率の表」は別表第八へ、となりました。


〜適用時期〜
  平成20年4月1日()()開始する事業年度(既存の減価償却資産を含む)
(個人の適用は、平成21年度申告分)

〜別表第二「機械及び装置の耐用年数表」について具体例〜
●耐用年数が短くなった場合

Q 次の場合の平成20年3月期(改正前)および平成21年3月期(改正後)の償却限度額は?

    取得日 : 平成19年4月1日
    償却方法 : 定率法
    取得価額 : 100,000,000円
    資産の種類 : 別表第二「22 情報通信機械器具製造業用設備」

    改正による変更点

    耐用年数 : 10年→8年
    償却率 : 0.250 → 0.313
    保証率 : 0.04448 → 0.05111

A 改正前の償却限度額
期首帳簿価額 耐用年数10年の定率法の償却率 償却限度額
   100,000,000 円 × 0.250 =   25,000,000 円

  改正後の償却限度額
期首帳簿価額 耐用年数8年の定率法の償却率 償却限度額
75,000,000 円 × 0.313 =   23,475,000 円
 
●耐用年数が短くなり改正後の耐用年数を経過した場合

Q 次の場合の平成21年3月期(改正後、償却9年目)の償却限度額は?

  取得日 : 平成12年4月1日
  償却方法 : 旧定率法
  取得価額 : 10,000,000円
  資産の種類 : 別表第二「4 木材又は木製品(家具を除く。)製造業用設備」

 改正による変更点

  耐用年数 : 10年→8年
  償却率 : 0.206→0.250

A 改正後の償却限度額は?
期首帳簿価額 耐用年数8年の旧定率法の償却率 償却限度額
1,579,663円 × 0.250 =   394,915円

  

10年(改正前)8年(改正後)、経過年数8年、改正後の事業年度にて9年目)改正後の

耐用年数に応じた償却率を用いて算出された金額が償却限度額となります。

その後、償却額の累計額が95%に達してから5年間の均等償却にて、残存簿価1円まで

償却することが可能です。

耐用年数が延長された場合も、同様に償却額の累計額が95%に達するまで償却して

からの5年間の均等償却になります。

●中古資産の耐用年数を簡便法により算定している場合

法定耐用年数が短縮された場合には、改正後の耐用年数省令の規定が適用される最初の事業年度において、簡便法により再計算をすることが認められています。

※再計算において用いられる経過年数はその中古資産の取得時の経過年数です。
具体的には・・・・

  取得日 : 平成19年4月
  資産の種類 : 旧別表第二「75 印刷設備」

  法定耐用年数 : 10年
  取得時経過年数 : 2年
  簡便法による耐用年数 : 8年

 改正後
  資産の種類:別表第二「7 印刷業又は印刷関連業用設備」、法定耐用年数:4年

簡便法により再計算すると2年になります。
(4年−2年) (2年×20%) 2.4年 2年



別表第二の「設備の種類」の判定
設備の種類の判定には、どの業種かを日本標準産業分類の中分類にて区分し

耐用年数表よりどの業種用の設備かを判定することになります。


具体例として、

  Q 自動車部品製造業者である法人が、従業員の給食のために厨房設備を

  購入して工場に設置しました。設備の使用状況は、通常の飲食店と同様です。


  A このような場合は、別表第二の「48 飲食店業用設備」に該当します。


・補足

  機械及び装置が別表第二に掲げる設備の種類は、基本的には、法人の

  業種で判断するのではなく、その設備がどの業種用の設備に該当するか

  により判定します。


〜参考〜

 償却資産税の耐用年数の改正は、平成21年1月1日申告分からの(事業年度に
 関係なく)適用となりますので、十分に注意が必要です。
                                           参考資料 : 国税庁HP Q&Aより

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