平成18年7月更新 古典に学ぶ


              あた          あら 
為さざるなり。能わざるに非ざるなり。
大要


できないということは、大抵の場合できないのではなく、やらないということだ。
         りょうけいおう
vd◆『孟子』 梁恵王章句


解説

 人間にとって、できないということは、できないとこころのうちで決めたときにできなくなる、のが正しい理解だろう。やろうという意志が持続している限り、やめたいという願望は生じても、直接できないことにはならない。何といっても、やろうやり抜こうとする持続する志が決め手になる。

 名作『アイヴァンホー』で知られる英国の作家サー・ウォルター・スコットは、「臆病でためらいがちな人間にとっては一切が不可能である」と、厳しい言葉を残している。

 中国の思想、とくに道家の思想のなかで「知足」(満足を知る)の占める位置は大きい。だが、知足は処世のうえで大切なことだが、度を過すと沈滞を招くことになる。
 人間を行動に駆り立てる原動力は欲求をおいてほかにない。こころの鏡に正しく反応する欲求に応えて行動したいものである。