16.6月更新  古典に学ぶ
理論は徹底的に、戦術は正確に。然る後に万難を排して断固としてやり抜く勇気と精神で前向きにやれば、いつの日か必ず成功する。
             ◆鄒韜奮『妥協をしない精神』
鄒韜奮は近代中国の著名なジャーナリスト。満州事変を契機に抗日運動に参加、「抗日七君子」といわれた抗日運動の指導者のひとりとして知られる。
 本名は恩潤で韜奮は筆名である。韜とは皮の袋の意、奮は勇の意。
 革命を志向した当時の中国知識人らしく、勇むこころを皮袋に秘めて俺はあくまでも闘うぞ、という強い意志を筆名に与えている。本名の恩潤では迫力に欠けると考えたのではなかろうか。熱血の闘士の風貌が想像できてほほえましい。東京帝国大学に学び、『日本への遺書』の著書もある。             
 大願を成就させるためのステップを力強く、しかもわかりやすく表した言葉だ。
 
ひとつの目標を達成するには、熱意と勇気だけでは十分とは言えない。丹念な情報収集を経て目標の構図を明確にし、戦術戦法を正確かつ明瞭に示すことがきわめて大切な要件となる。
 これらの要件がしっかりと準備されてこそ、熱意と勇気が物を言う。
 勇気を活かす知恵と、地道な努力の積み重ねが成功の鍵となることは、今も昔も変わらない。精神的な裏付けのない信念は、一風吹けばすぐに萎えてしまう。
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