この言葉は『易経』の「坤卦(こんか)」の文言伝にあり、自然界がその秩序に従って規則正しく運行されるように、人間の世界も、その善悪を基軸にそれぞれの現れ方で大きな秩序が保たれていることを説いている。
「因果応報」という言葉がよく使われる。善きにつけ悪しきにつけ原因があって結果に終わる。仏家ではこれを「積善余慶」とか「積悪余殃」と言ったりする。これはこの主題の言葉から取られたものである。
主題の言葉にさらにつづく。
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「臣にして其の君を弑し、子にして其の父を弑するは一朝一夕の故にあらず。其の由りて来る所のものは漸なり。之を弁じて早く弁ぜざるに由るなり」 |
下臣が主君を殺したり、子が父を殺したりするような残虐な事件も、その原因は一朝一夕に生まれたものではない。長い間に下地が準備されていたのである。事件が起こるべきことを知っていながら、早期にその限りを苅り取らなかったからである。と説く。子子孫孫に余慶を注ぐように、日日の行いを正していきたいものである。 |