「易」の根本原理を端的明快に述べた言葉である。
『周易繁辞下伝(しゅうえきけいじ)』に、次の言葉がある。
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「古者包犠氏(いにしえほうぎ)の天下に王たるや、仰いでは象を天に観、俯(ふ)しては法を地に観、鳥獣の文と地の宜を観、近くはこれを身に取り、遠くはこれをものに取る。是に於て始めて八卦(はっか)を作り、以て神明の徳を通じ、以て万物の情を類す」 |
昔、包犠氏が天下に君臨したとき、頭上を仰いでは天体の運行を観察し、足下をみては大地の理法を観察し、鳥や獣の皮や羽根の模様などを観察し、手近なところでは身体部分を、遠くには森羅万象を取り入れて八卦を完成させた。これによって天なる神の明智を授けられ、万物の実相を類型化したのである、と。
易が単なる占いではなく、科学的統計に根ざした学問体系だといわれる理由は、この成立過程を見ればよくわかる。
包犠氏没して神農氏が後を継ぎ、神農氏が没して黄・尭・舜の賢帝がこれにつづいた。
このようにして易の原理が今日まで継承されているのである。 |
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