これまで上場企業のような大企業向けの会計基準については整備が進んでいたものの、中小企業がこれまで拠るべき会計基準についてはあまり整備されていませんでした。これまでは中小企業においては取り巻く利害関係者も限られていることから、法人税法に強い影響を受けた会計が行われてきました。
そのようななか、平成17年に中小企業が拠るべき会計基準として「中小企業の会計に関する指針」が策定・公表されました。皆様方の中には金融機関から借り入れを行う際、「「中小企業の会計に関する指針」の適用に関するチェックリスト」の作成を税理士事務所などに依頼された方もおられるのではないでしょうか?
しかしながら、中小企業庁の調査によるとその普及はあまり芳しいものとは言えないようです。中小企業においては会計に携わる人員も限られることから、会計基準を理解して業務を行うことが難しいことや法人税に影響を受けた会計であってもそれなりに認知されてきたことなどが理由としてあるのでしょう。
そこで平成24年により中小企業の実情にあった会計基準として「中小企業の会計に関する基本要領」が公表されました。
今後、政府の中小企業政策の一環として、中小企業においては「中小企業の会計に関する指針」「中小企業の会計に関する基本要領」による会計を行われることが推奨されています。中小企業の経営を考えるうえで現状を数字で的確にとらえることは重要なことでもありますので、これを機会に会計にも目を向けてみるといかがでしょうか?