H15.7月お役立ち


2005年度以降の税制改正で、給与所得(一般のサラリーマンの給料)の必要経費の対象枠が広げられる・・・。 というハナシが出ているようです。
「経費が増えれば課税対象額が減って、税金が安くなる?」と、思いがちですが、これは実は所得税の増税のお話

 
給与所得控除は、自営業者以外の会社員や公務員など就業者の8割が対象
なんだか知らない内に控除されているように感じるサラリーマンの所得税についてお送りします。
プチ予習 「給与所得の必要経費」って何じゃろ?
 
 
給与所得者の所得税の計算方法
 
 
給与収入金額 − 給与所得の必要経費 = 給与所得金額
     (↑通常、計算はせず、「簡易給与所得表」を使用しています)
  ※ 所得区分に応じた5段階の控除率を掛けて想定上の必要経費額を算定し、
    課税所得から除外しており、最低でも年間65万円が非課税になっている。


給与所得金額 − 所得控除額 = 課税給与所得
 
課税給与所得 × 所得に応じた税率 = 税額
 
    (※特に特例の適用や控除が無い場合の一例です。)
つまり必要経費額が多いほど、所得金額は少なくなるので税額も少なくなり、逆に必要経費額は減ると、税額は高くなります。

「必要経費の対象枠拡大」までの流れ

財務省は、給与所得の平均30%弱を必要経費とみなして非課税にする給与所得控除を20%に縮減する方針
2005年度以降の税制改正に盛り込むことを目指し、政府税調や野党との調整を進める。
なぜそんな話が出たのか、というと。
実際の支出の裏付けがない必要経費の概算控除の水準としては、高すぎるという判断。
「イヤ、高すぎるって事はないよ!」と言う声も虚しく・・・。
同省は、所得区分ごとの控除率を見直して、控除額に上限を設けて平均控除率を20%に引き下げる方針。
「それって、結果的に大幅な増税じゃないのか!!」という意見を考慮して
そこで、経費と認められる特定の支出の合計額が給与所得控除額を超えた場合、領収書などを添えて確定申告すれば、超過額を非課税額に上乗せ出来る 特定支出控除 」の制度を広げ、経費と認める支出の対象を広げる。
どういう項目が増えるの?
現在、経費と認められているのは、通勤費、転勤にともなう引っ越し費用などの5項目だが、諸外国の事例を踏まえ、交際費の一部、労働組合費、新聞・書籍購読料なども必要経費と認めるかどうかを検討する。




部長:
猫田
課長:
宇佐野
※ふたりは同僚であり、「飲み友」なのだ!
〜ヘッドハンティングの支度金は「給与所得」?の巻
英国サッカークラブのデビット・ベッカム選手が監督との衝突が原因で、スペインのレアル・マドリッドへ移籍する事に・・・。
その移籍金の額、3500万ユーロ。日本円で約49億円と言われています。
さてさて、このヘッドハンティングの際、支払われる支度金。これにも税金がかかるって知ってましたか?
↑ベッカムと妻ビクトリア。
※今はこの髪型ではありません。
このご時世に景気の良い話だねぇー。
ベッカムはサッカー選手としてだけでなく、タレントとしても一流ですからね。
49億円の投資以上の利益が保証されているっていうことですよ。
今や「ベッカム様!」だもんなぁ。 神様・仏様・ベッカム様・・・か。
そう言えば、大仏ヘアー
(パンチパーマ)と ベッカムヘアー(ソフトモヒカン)はあるのに、
神様ヘアーは無いねぇ〜、ウサ野くん。
・・・は、はぁ。
それより、このヘッドハンティングの支度金。税金がかかるって知ってますか?
え? そうなの?? どれぐらいかかるの?
支度金については、原則10%(100万円以上の場合は、超える部分について20%)
例えば、500万円の支度金とした場合は、「100万円×10%+400万円×20%」で、90万円の源泉徴収が支払い者によって行われます。
ほぅほぅ…。
じゃぁ、もらった人は? 給料みたいな感じだから「給与所得」かね?
そこなんです。
ヘッドハンティングを受けた多くのサラリーマンが「給与所得」として申告しがちなんですけど、正解は「雑所得」。給与所得とは別に確定申告をする必要があるんです。
ウサ野くん、相変わらず賢いねェ!
勉強になるよ。 よしよし、これでいつヘッドハンティングされても大丈夫だな★
ガッハッハッ
そっ、そうですね。・・・アハハハッ。
・・・ウサ野くん。
いま、「そんな事ないから大丈夫だよ」って思っただろう・・・。
ドキッ) ぶ、部長〜。 (妙なところでスルドイな・・・)



参考資料: エヌピー通信社発行「納税通信」
第2777号、第2778号