押さえておきたい実務対策 |
今回の消費税法の改正では、免税点引き下げや簡易課税制度の適用範囲の縮小など、中小事業者に大きな影響を及ぼす項目があります。またこの改正により、約136万社(者)が免税でなくなり、約56万社(者)が簡易課税から原則課税に移行しなければならないといわれています。 同時に総額表示など、企業規模に関係なく対応を検討しなければならない改正もあります。 |
<免税点制度の適用範囲> 課税売上高3,000万円以下 →課税売上高1,000万円以下 <簡易課税制度の適用範囲> 課税売上高2億円以下 →課税売上高5,000万円以下 ※免税点制度、簡易課税制度の選択は「基準期間」の課税売上高で判断します。 法人・・・前々期 個人・・・前々年 ※適用時期 法人・・・平成16年4月1日以後開始する課税期間 個人・・・平成17年1月1日以後開始する課税期間 |
これだけは知っておきたい消費税の仕組みと税額計算 消費税は、その名のとおり最終的には消費者が負担する税金ですが、国等への納税義務は事業者が負います。そのため事業者は、自らの販売価格に消費税を上乗せして回収し、その税額を納付することになります。 ただし、回収した税額をそのまま納付すると、事業者間の取引のたびに税額が累積してしまうので、受け取った税額から支払った税額を差し引いてその差額のみを納税すればよいことになっています。 自ら支払った税額を控除することを「仕入税額控除」といいますが、その計算は非常に複雑で、様々な特例制度もあります。 消費税額の計算方法には、「原則課税」と「簡易課税制度」の二つがあります。簡易課税制度を選択しない(できない)事業者は、すべて原則課税で納税額を計算することになります。 |
原則課税とは・・・ |
預かった消費税と、支払った消費税の差額を納める制度。 たとえば建物を建築したり、高額な機械装置を購入するなど大きな支出があり、預かった消費税より支払った消費税のほうが多い場合には、その差額は事業者に還付されます。ただし、その計算は膨大かつ複雑なため、特に小規模な事業者には事務負担が重くのしかかります。 |
簡易課税とは・・・ |
原則課税の複雑な計算を簡便に行えるように設けられた制度。 個別の取引について仕入税額を計算する必要がなく、一年間の課税売上高に業種ごとに定められた「みなし仕入率」を乗じて概算の課税仕入高を算出し、これに基づいて納税額を計算する。 また、「みなし仕入率」が実際の課税仕入率を上回っている場合には、原則課税に比べて「納税額が少なくなる」という利点もあります。 ただし、選択してから2年間は取りやめることはできないので、建物の建設等高額な課税仕入れを予定している場合は、考慮して判断しましょう。 |
★ @ A B |
原則課税での税務調査で問題とされやすい仕入税額控除の 処理ポイント 外注費か給与か?給与なら課税仕入から除外 人材派遣料か出向負担金か?出向負担金なら給与扱い 課税取引か非課税取引か?区分を明確にしておく ※間違いやすい勘定科目
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C D E F G H J K |
町内会費か研修会費か?町内会費なら課税対象外 香典か生花代か?香典は事業者取引ではない 軽油引取税は課税仕入れから除外する。 手数料か金融取引(加盟店手数料など)か? 金融取引は課税仕入れから除外 車輌の購入では諸費用の扱いに注意しよう (取得価格には課税・非課税の区分が必要、取得税・保険料など) 前払費用の消費税は当期では控除できない 貸倒処理をしたら消費税額を別途表示する 非課税割合がある場合は課税売上割合に注意する |
いよいよ4月1日から一斉に、消費者に対して価格表示をする場合には、「消費税込みの支払総額」を明示することが事業者に義務づけられました。 この改正については、次の三点に注意して対応を進める必要があります。 (1)消費者に対しての価格表示にのみ義務づけられること (2)価格表示そのものを義務づけるものではないこと (3)税込みの支払総額を表示しなければならないこと 表示方法の具体例(税抜きで1,000円の商品の場合) @ 1,050円 A 1,050円(税込み) B1,050円(本体価格1,000円)など |
次頁にて課税・非課税・対象外取引の区分を詳しく説明してありますのでご覧下さい。 |