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暮 ら し と 財 産 |
●「親の家」を増改築 ローン控除に注意
リフォーム業界が活況を呈しているなか、「親の家を二世帯住宅にする」ケースが急増している。こうしたケースでは、住宅ローン控除の適用に注意が必要だ。
住宅ローン控除とは、10年以上のローンを組んでマイホームを新築、増改築した場合に、年末借入残高5千万円以下の部分に1%の控除率をかけた金額を10年間所得から控除出来る制度。
ここで、注意したいのが所有権の問題だ。住宅ローン控除は、あくまで「自分が所有する住宅」が対象。工事契約書に「自分所有」となっている必要がある。
つまり、リフォーム後に持分割合を決めて区分所有した場合は、適用対象外になるわけだ。
●災害で「家財」損壊 軽減される所得税
大雪や梅雨、台風などによる水害で家屋が全壊したり、家財道具の一部に損害を受けたりした場合、災害減免法により所得税の額が軽減または免除されることがある。
ここで問題になるのが、「家財」の範囲だ。家財とは日常生活に通常必要な家具、什器、衣服、書籍そのほかの家庭用動産をいう。
要は、損害を受けた家財が“日常生活に通常必要”かどうかが判断のポイントとなってくる。このため、貴金属類、絵画、骨董品などは、災害減免法の対象となる「家財」には含まれない。
●子の治療に付添い 交通費は控除対象
最近は、子供の歯並びを矯正させる親が増えている。子供の成長を阻害しない為の強制の場合、かかった費用に関しては医療費控除の対象となる。
ところが、歯並びの矯正はどこの歯科医でも同じではなく、近所の歯医者でというわけにはいかない場合もある。
このような治療のために電車などを使って行く場合、付き添った親の交通費も医療費控除の対象となる。
●兄弟が相続税滞納 連帯責任の場合も
親が亡くなるなどして財産を相続した場合、相続税の納付に関して年賦延納を申請するケースは少なくない。
こうした場合、兄弟2人で親の財産を相続していて、2人とも年賦延納の許可を得ていたが、兄弟のどちらかが、何らかの理由で納税資力を失ってしまうことも考えられる。この時もう一方にとっては相続税を連帯して納付しなければならないのかどうかが気になるところだ。
同一の被相続人から相続または遺贈によって財産を取得した者が2人以上いる場合、そのすべての者が取得した財産に対する相続税について、受けた利益の価額に相当する金額を限度として互いに連帯納付の責任を負うことになっている。
その為、前述の場合は連帯納付の義務が発生する。
●亡くなった両親の医療費控除は可能
一緒に生活していた親が亡くなったとき、死亡後に請求された医療費を相続人が負担することがある。この医療費を「自分の医療費」として控除することは可能なのだろうか。
医療費控除は、「自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族」に係る医療費を支払った場合に適用される。このため、以上のケースでは「自分の医療費」として控除することができる。
また、親の死亡後に請求された債務は、被相続人(親)の準確定申告の際の対象とはならず、この場合は、自分の医療費控除の対象となるのだ。
なお、死亡後に支払った医療費については、親の債務として相続税の計算上債務控除の対象にもなるので覚えておきたい。
●胎児にも相続権あり 課税計算では除外
結婚して、まもなく子供を出産する予定のなか、不幸にも夫が死亡してしまうケースもある。
一般的には、相続は被相続人の死亡で開始されるが、胎児は相続の対象となる「人」ではないため、例外的に「胎児はすでに生まれた者」とみなし、胎児の相続権を認めているのだ。
ところが、このようなケースでは、相続税の申告書提出時の課税価格計算が問題となる。この胎児が申告書の提出の時までに、生まれていないときは、その胎児はいないものとして各相続人の相続分によって課税価格を計算することになっている。 このため、期限後に胎児が生まれた場合は、更正の請求を行い、相続税の計算をやり直さなければならない。
会 社 の お 金 |
●社内行事の歓迎会 二次会は「交際費」
「新入社員の歓迎会」など宴席を社内行事として設け、その費用を会社で負担した場合、税務上は基本的に福利厚生費扱いとなる。これは、職場における社員の基本的生活にかかわる費用と認められているためだ。
ただし、会社の費用負担が福利厚生費扱いにできるのは「一次会」まで。
二次会以降に係った費用の税務上の扱いは交際費扱いとキチンと区別されている。
●微妙な広告宣伝費 物品提供の範囲は
何事もイメージが先行する世の中。不況で売上が冷え込む中、消費者マインドをとらえようと、広告や宣伝に莫大な費用を掛けるケースも少なくない。
こうした広告宣伝費について、新聞や雑誌、テレビ、ラジオでの広告利用やチラシ、ポスター代、商品見本の作成費用、一般消費者への抽選による景品贈呈などが対象となる。つまり、広告、宣伝などを目的として広く多数の人間に配布する物品などが広告宣伝費として損金計上できるわけだ。
だが、取引先企業の役員、従業員など、特定の人間に限って物品の提供を行った場合は、交際費とみなされる。ただしこの場合、物品の単価が3千円以下であれば広告宣伝費として取り扱える。
●役員への増加報酬 一括支給なら賞与
ようやく景気が上向きはじめたといわれるなか、業績が上向きになったとして役員賞与を上乗せするケースも出てきた。
臨時に株式総会を開き、期首までさかのぼって役員賞与を一括して増加支給した場合、増加支給した部分は役員報酬ではなく、役員賞与となり損金算入できない。期の途中で増額された場合、その差額を一括支給した場合は、臨時の報酬として賞与扱いになる。
ただし、役員報酬の増額決定をするのは、通常は定時株主総会。これは当期の開始後にならざるを得ない。このため、定時株主総会で決議する事業年度の期首までさかのぼって支給する場合は、その期間についての支給額は報酬として損金算入できる。
●店舗兼住宅を購入 どうなる特例措置
店舗併用住宅で事業を営んでいるケースがある。個人がこの店舗併用住宅を売って、代わりに同じ種類の店舗併用住宅に買い換えたときは、居住用部分と店舗用部分について、それぞれ特例を受けることができる。
居住用の部分は、売却したときの「3千万円の特別控除の特例」か、「居住用財産を買い換えたときの特例」など。事業用部分は、事業用資産を買い換えたときの特例が受けられる。いずれもいくつかの要件に当てはまる事が必要となる。
なお、居住用部分と店舗用部分のどちらか一方の使用割合が住宅全体の90%以上になっている場合には「90%以上になっている方の用途に全体が使われていたもの」としてどちらか一つの特例を受けることもできる。
●「交際費」「寄付金」 実態で区分判定を
企業における交際費と寄付金の区別については、頻繁に物議を醸すもののひとつだ。
交際費などは、得意先や仕入先、そのほか事業に関係ある者に対し、接待、供応、慰安、贈答などの行為のためにに支出する費用のことをいう。
一方、寄付金とは、金銭・物品、そのほか経済的利益の贈与または無償の供与のこと。一般的に寄付金、拠出金、見舞金などと呼ばれるものは、寄付金に含まれる。
ただし、これらの名目の支出であっても、交際費や広告宣伝費、福利厚生費などとされるものは寄付金から除かれるので注意が必要だ。
したがって、金銭や物品などを贈与した場合に、それが寄付金になるのか、交際費になるのかは、個々の実態をよく検討したうえで判定する必要がある。
ただし、事業に直接関係ない者に対する金銭贈与であれば原則として寄付金になる。
参考資料 エヌピー通信社 「納税通信」 |