ワンポイント!確定申告

 家政婦紹介手数料、介護なら医療費に

 高齢化が進む日本では、いかに老人介護を行うかが重要なテーマとなっている。一般に保健師や看護師などの療養上の世話は、医療費控除の対象。ところで、共働夫婦などが家政婦を雇う場合の紹介所への手数料は対象になるのか?
本来、療養上の世話の対価とはいえないが、世話をする人を紹介してもらった事に対して支払われる対価であるため、控除の対象として差し支えない。



● インフルエンザと花粉症

 ともに流行で気になる医療費控除だが、医療費控除の対象となるのは、「医師または歯科医師による診療または治療の対価」や「治療または療養に必要な医薬品の購入の対価」など。風邪をひいた場合の風邪薬購入代金は医療費となるが、ビタミン剤などは税務上の医療費とならない。予防接種も対象外。
また、風邪薬と同じく花粉症の治療の為に買った薬は対象。マスクも治療の為だと証明できれば対象に含めることが可能だ。



● 帰省して子供出産、交通費の控除NG

 出産にまつわる医療費控除はいろいろと認められているが、その中に交通費がある。たとえば、突然、妊婦が産気づいたときには、タクシーを利用する事も少なくない。この料金は医療費控除の対象となる。
 ところが、出産事情も最近では様変わりし、妊婦の実家にある病院で出産するケースも増えているが、実家に帰って出産するために支払った交通費は控除対象外である。









● 歯科治療の医療費控除で気になる点

 歯の治療は、高価な材料を使用する事が多く、気が付いたら莫大な治療費を請求されている事が少なくない。いわゆる自由診療も多い。
一般的に水準を著しく超える特殊なものは、医療費控除の対象にはならない。しかし、金などの義歯の挿入は一般的な治療である為、対象となる。
 また、発育段階の子供の成長を阻害しないようにするために行う不正咬合の歯列矯正なども対象となる。ただし、容貌を美化する為の費用は対象外。




● 老人訪問介護費用、どこまで医療費?

 寝たきり老人がいる場合、老人訪問介護サービスを利用する事がある。この際に支払う費用は、医療費控除の対象となるのだが、領収書の金額全てが対象となるわけではない。
 基本的に対象となるのは、基本利用料とその他の利用料のみ。「その他の利用料」とは、延長料、定められた日や時間以外に受ける際の費用、必要な交通費、薬剤費、衛生材料、治療材料のこと。
 また、オムツ代は使用証明書の交付を受けた場合に限り、認められる。









● 家屋と敷地の持主、異なる場合は注意

 マイホームを売って利益が出たときは、「3千万円特別控除」を受けることができる。これは、譲渡所得から3千万円まで控除できる制度。
原則として家屋の所有者が家屋とその敷地を譲り渡した場合に受けられるものだが、一定の要件を満たせば、家屋と敷地の所有者が異なる場合でも適用が可能だ。
注意点は、@控除額は合わせて3千万円まで。A差し引く順序は、まず家屋、続いて敷地。B家屋、敷地同時に売却する。C所有者同士が親族関係にあり、生計を一にしていること。




● 親のマイホームを子が譲渡したら

 田舎で一人暮らしをしている親を子供が住む都会に呼び寄せ、同居するケースがある。こうしたケースでは、親がそれまで住んでいた田舎の住宅を処分するのが一般的だが、ここで気になるのが3千万円の特別控除だ。
適用を受ける為には、特例の適用者本人が住んでいた家でなくてはならないという要件がある。
現在住んでいなくても、以前に住んでいたらよいとされているが、この場合、住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売らなくてはならない。









● 雪かきと雪下ろし、費用は雑損控除?

 豪雪地帯で一軒家に住んでいれば誰もが経験するであろう「雪下ろし」。
この雪下ろしにかかった費用や、豪雪による家屋の損壊といった損失についてはどう取り扱われるのか?
これは、家屋の倒壊はもちろんだが、家屋の倒壊を防ぐ為の屋根の雪下ろし、雪かき、雪捨ての費用も豪雪による損失額と同様に雑損控除の対象に含めることができるとされている。





おまけ
「振込め詐欺」でお金を損失した場合、所得控除(雑損控除)はありません。
くれぐれも気を付けて!













参考資料 ●エヌピー通信社 
        「納税通信」