15.12月更新  所長の部屋  

経済環境が依然として厳しい中で、多くの会社・事業者がこの一年間業績を伸ばそうと努力してこられたのではないでしょうか。しかし、思ったようにいかないのが現実です。年末にあたって、今年できたこと、できなかったことをチェックしておきましょう。

最新の「試算表」と一年前のものとを
比較・チェックしよう

 試算表について、例えば、去年11月のものと今年11月のものを比較・チェックしてみると、この一年で経営状態は良くなったか・悪くなったのか、改善に向かっているのか・悪化傾向なのかといったことが明確になります。さらにその原因分析をすることによって問題が明らかになり、来年に向けて効果的な対策を講じることができるのです。

一年を振り返り、ここをチェックしよう

一年間で売り上げは増えましたか。

経営の基本は売上を増やすことです。この一年間(前年に比較して)で売上は増えたかどうか、当月及び累計ではどうか、商品ごと・部門ごと・店舗ごとにチェックします。売上が前年より減少している場合には、以下の事項を自己チェックしてみましょう。

<売上減少についてのチェック>

     売上が減少したのは戦略的な理由からですか 

    売上を増やすための努力について

お客様に満足して頂く事を第一に考えて具体策を実行しましたか
お客様に近づく努力をしましたか
経営者自ら営業しましたか
お客様への訪問活動を増やすようにしましたか
お客様を増やすための諸活動を行いましたか
社員教育の徹底などによって営業力の強化に努めましたか
 利益は出ていますか、または増えていますか

利益が出ていなければ資金不足につながります。一年間でどのくらい利益が出たか、当月および累計ではどうか確認します。

 粗利益率や生産性は良くなっていますか

卸売業や小売業では、粗利益率は一年でどう変化したかチェックします。また製造業では、「一人あたり売上高」や「一人あたり加工高」などで生産性を確認します

 現金預金の残高は増えていますか

 立てた計画の浸透を図り、そのとおり行えましたか

厳しい経済環境においては、行き当たりばったりの経営では業績の向上は望めません。きちんと目標を設定し、その目標を達成するための経営計画を立てておく必要があります。計画どおり実行できていなければ、どうしてできなかったのか、目標達成出来ない要因は何か徹底的に分析しましょう。

さて、先々月の続編
『貨殖の奥にある精神』津本 陽 

               をおくります。
目標を失えば「根無し草」
日清、日露の戦争に勝った日本は、世界の一流国になったが、第二次大戦ではボロ負けに負けた。なぜ負けたかというと、その頃には正しい意味での富国強兵の精神がなくなっていたというのである。
軍人も国民も、実力以上におごっていた。おごっていると、敵の長所を認めたくなくなる。
 今の日本人にはおごりはないが、日本の将来は過去の歴史から考え、こうあるべきだという国家目標をもたない、根無し草となった。経済は史記の貨殖篇そのままの発展を見たが、足が地に着いてない、物心一如というつよさがないと、松下氏は指摘される。
 その精神的な弱さを克服するには、二千年の歴史をもつ、一国、一言語の日本民族の血のなかにうけつがれてきた、伝統精神を再認識しなければならない。
 松下氏は日本精神をよみがえらせるには、民族の衆知を集めることが第一、和をもって貴しとなすという聖徳太子十七条憲法の第一条にあげられた理念が第二、他国の文化、風習がはいってくるとこれを吸収し、日本独自の伝統の主座を明け渡さないことが第三であると指摘される。
 いま、世界はあらたな文化、政治、経済の大変動の時期にさしかかっているようである。アメリカで固めの豆腐がステーキ用として年間四千万丁も売れるという、国際化時代である。
 いま、日本人は国家精神を再認識し、民族が先祖からの遺伝としてそなえている活力を発揮して、世界の人々とともに生活の向上をめざしてゆかねばならない。 
             (了)
つもと・よう 29年生まれ。東北大卒。
78年「深重の海」で直木賞。主著に『下天は夢か』など。

今年もいよいよ後わずかです。この一年大変お世話になりました。皆様の今後ますますのご繁栄とご健康を祈念申し上げまして年末のご挨拶といたします。

 では、良いお年をお迎え下さい。

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