所長の部屋 臨時増刊号
H16.7.20 更新
みきを さんからの書き込み
印紙税の調査のお話、興味深く拝見しました。
私どもの会社にも印紙税の調査が入ります。
いままで印紙税だけに絞った調査というのはされたことがなかったので、担当者一同戸惑っています。
事前にそろえる帳票を確認しましたが「行ってから指示しますので今のところ特にありません」とのことでした。
一体何を用意すればよろしいのでしょうか。
総勘定元帳の他に、部門別元帳も見せないとだめですか?
決算書もいりますか?また、会計ソフトとは別に、独自でエクセルで作成した部門別収支なども見せなければだめでしょうか。もちろん請求書や領収書はいるかな?と思うのですが…。どこまで開示しなくてはならないのか不安です。7年ぶりくらいの税務調査で、勝手も忘れてしまいました。印紙購入時の伝票やレシートもいりますか?
調査期間は3日だそうです。
アドバイスよろしくお願いします。
印紙税調査のご質問にお答えします。

貴社の業種が不明ですので、非常に判断し難く、課税文書発行が比較的多い業種、頻繁に収入印紙を貼付しなければならない業種を想定してお答えします。

(1)はじめに
@ 確かに印紙税だけに絞った調査は珍しく、消費税と併せて、又、法人税調査に併せての調査が一般的です。
A 印紙税だけの調査では、旅館業、ホテル業で相談を受けた事がありますが、委任契約書を閲覧し、問題なく終わったそうです。
 
(2)一般的な印紙税の調査
@ 月々の収入印紙購入枚数(購入金額)と、課税文書(領収書)に添付されただろうと思われる枚数との誤差の調査が行われます。
A 課税庁側では、レシート、領収書の控の3万円以上の物件を集計し(実際購入枚数+印紙在庫)が一致されているかのチェックが@にあたります。
B ここでの争点は収入印紙貼付の時期がいつか、レシート、領収書を作成した時か、相手に交付した時かの問題が生じます。レシート、領収書を作成しても、相手に交付はしなかったら貼る必要はありません。(交付時が正しい)
C 課税庁側では、数ヶ月分の調査で、「月 平均50枚ぐらい添付漏れがあるようですので、50枚の12ヶ月分、600枚相当の3年分を納めて頂きたい」との打診がありますが、これはおかしい。
D 印紙税に推計課税はできるのか。これはできない。貼付していない課税文書を発見した時に課税すべきものです。だから未添付の場合は厳しく、通常に加え2倍の過怠税になっているのです。
E 又、課税庁側では、納税者に「不納付の申出書」の提出を推め、過怠税が10%の納付で済ませることが出来ることを強調されることが多い。これは納税者が「貼付漏れがあります」と申出るという行為です。
F Eのような行為は、推計課税に多く、推めることはできません。「10%と2倍はどちらがいいですか」と問われますと、納税者は弱い立場ですので、遂々、10%で済ませようとします。しかし非を認めた事になるのは事実ですね。
 
(3)帳票等の準備
@ 業務に関する帳簿書類その他の物件を検査する。
A 課税文書を検査する。 と、あります。
B 従って
業務に関する帳簿書類と業務に関するその他の物件及び課税文書を準備する必要があります。
C 一般的には、総勘定元帳と、相手発行の契約書等、領収書等、さらに受け取った領収書等でいいのではないかと思われます。おそらくソフト等は見ないし、見せる必要はないと思います。
D 尚、検査とは
相手の承諾を得てとありますので、一方的に進められないようにいたしましょう。
 
(4)終わりに
最近の税務署の調査対応は決して厳しいものではありません。一部には、税法を超えて一方的な見解で迫ってくる署員もいるかと聞き及んでいますが、税法にのっとり、公正な態度で臨めば、双方の見解は保たれる筈です。案ずるより産むが易し。文面から察しますと公正妥当な税務処理をされていると感じられます。自信を持って対応して下さい。
尚、詳しくは顧問税理士にご相談されて下さい。