平成 18年 3月更新 所長の部屋 

弥生三月、随分と春めいてまいりました。この季節何といっても皆さんの確定申告、もうお済でしょうか。昨年一年の成績発表はいかがでしたか。それを踏まえて今年の課題に挑戦していきましょう。

 さて、今月は長崎でおなじみのブライアン・バークガフニさんが出版されました『華の長崎』をご紹介いたしましょう。

『 華 の 長 崎 』
ブライアン・バークガフニ著
 の度、長崎の歴史と文化、比較文化論でご活躍の長崎総合科学大学教授ブライアン・バークガフニ編著による秘蔵絵葉書コレクション『華の長崎』が出版されました。長崎県民に広く親しまれ長崎の発展に尽力されています氏はアイルランド系のカナダ人で、30年と少し前に日本にやってこられました。熱心なカソリックの家に育ったが何故か「禅に憧れて」京都の妙心寺で修業し得度も受けられた。その10年後に、長崎に移住、長崎で暮らすうちにもっと「昔の長崎」が知りたくて、インターネットで世界中に呼びかけ、明治から昭和にかけて“世界の観光地・長崎”から世界中へ散らばっていた絵はがきを蒐集してこられた。絵はがきを選んだ理由は「安かったから」だった。この度、その絵はがきを集め、昔日の長崎を一冊の本にした『華の長崎』という素晴らしい本だ。当時の長崎の文化や風俗が透けて見える貴重なものだ。明治・大正・昭和と繋がってゆく長崎の人々の暮らしぶりが見事に『絵はがき』という証拠によって炙りだされている。

 また、多く残る絵はがきから、かって長崎には外国資本のホテルが数多く存在したことや、当時の欧米の人々の『憧れの町』だったことがはっきりと浮き彫りにされている。

=現代を覆う利己主義にため息=

 歌手のさだ まさしさんは氏との対談の中で、
“善悪二元論の語る「正義」に疑問を抱き「もっと公平な義」を語る東洋哲学に興味を持った氏は日本にやって来たが、来てみるとその日本も少し歪んでいた。僕は恥ずかしかった。 外国の人が日本を愛し応援しているのに、この国の人は一体自分の国をどう思っているのだろう。「卑劣」という言葉が最初に浮かぶ今の日本。利己主義に覆われつつある国が、世界に憧れられる日がいつか又来るのだろうか。「華の長崎」をみながらため息をつく。“
と、語っておられる。

              ―― さだ まさしの日本が聞こえるから抜粋――

さだ さんの現代の日本を痛烈に批判され憂えている気持ちがよくわかります。正月一月から話題独占のホリエモン、若くて現代の英雄、寵児と祭り上げられた彼が今や逮捕・起訴という奈落の底。ある財界の長は彼をこのように評価した。『彼は企業を立ち上げたその志は間違っていなかった。しかし、だんだんとその志が大きな野心に変わっていった。志と野心を履き違えて進んでいく彼は哀れであった。』・・と。

野心とは、人に馴れ服さないで、ともすれば害しようとする心、身分不相応の大きな望み・非望を企てる心なのです。

志とは社会に相応しい、享受できる親切な心をもって前に進もうとする意向、意志なのです。

もっと簡単な言葉で表すと、“志は世のため人のため、野心は私利私欲のため、自分のため”なのですね。最近の若者の会話の中で、『うちの社長はとっても野心を抱いている人です。』『私の彼は野心家ですよ。』と英雄視、自慢している輩がいる。嘆かわしいことです。 

みなさん、ブライアン・バークガフニ氏『華の長崎』の本を読まれてみてはいかがでしょうそして、今の日本を・長崎をもう一度検証しようではありませんか。
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