平成18年6月分  所長の部屋
春過ぎて 夏来(きた)るらし 白妙の  衣干したり 天(あめ)の香具山
              持統 天皇
夏野行く 牡鹿の角の 束の間も 
妹が心を 忘れて思へや

              柿本人麻呂
ひさかたの 雨の降る日を ただ独り 
山辺に居れば いぶせかりけり

             大伴 家持

読者の皆さんこんにちは。
夏の匂いがする今日この頃、今回は誰もが一度は口ずさんだことのある有名な万葉集をあげてみました。喧騒の中でもたまにはこのような和歌を懐かしみ和みたいものですね。

さてさて、日本という国はどうなってしまったのでしょう。親が子を殺し、子が親を殺し、同級生が同級生を殺し、大人が小さな子供を殺し、残忍極まりない事件の続出、あまりにも辛く悲しい事件が多発・・・悔しいですね。家庭のあり方の貧困、教育のひずみ・ゆがみ、弱者をいたわる心の喪失、命の重さ、自我の欲求、脳内汚染、弱肉強食・・・二極化・格差社会だけの問題でしょうか。家庭で、学校で、職場で、サークル内やあらゆるところで考え直さなければいけないような気がいたします。

 今回は“頑張ります”と“頑張ってね”の話し言葉をテーマに綴ってみましょう。

“頑張ります”・・・“頑張ってね”

 私たちの嫌いな日本語・・文藝春秋六月号にも面白い記事が載っていましたがその中でも「頑張る」「頑張って」の日本語が嫌いというのがとても印象的でした。

例えば、インタヴューに答えるサッカー選手が「今日は頑張ります」と言えば、“いやいや頑張らなくていいから一点取れよな”って。野球選手もしかり、スポーツ選手の中にはこの様に言いたくなる事ってたくさんありますよね。“頑張らなくていいからヒットを打てよ”とか、“頑張らなくていいから入賞しなよ”とかね。

私の事務所でも何かといえば「ハイッ!頑張ります」と返事する人がいますけどね。“ミスには気をつけるように、まずは慣れることだね”って言うとそらッ来た!
頑張ります
“あなたの今の能力では知れているのだから、
頑張らなくていいからミスをするなよ“
って言うと「ハイッ!気をつけます。
頑張ります。」って、もう笑い話にもなりません。
                    
随分前のことになりますが五木寛之さんの講演の中で、不治の病と闘っている知人の見舞いに行って、これ以上“頑張って下さい。”とは言えなかった。ただただ手を握りしめることしかできなかった。治療に専念し尽くすだけ尽くした人にこれ以上頑張ってくれなんて言えないものですとね。分かる気がいたします。
                    
 私が税理士試験を受けている時に、職場の先輩や同僚から「頑張ってこい。」なんて言われ・・・なんだかその後に・・・駄目だと思うけど・・・と、言葉が追いかけてきているような感じをもったものです。

薄っぺらな“頑張ります”、心のこもっていない“頑張ってね”はやめて欲しいものですね。

では、今日はこの辺で・・・。


も ど る