18年9月更新 所長の部屋 

 残暑厳しい日々の連続ですが如何お過ごしでしょうか。夏バテ、夏カゼは大丈夫でしたか。常に健康に留意し、心身共に爽快にこの秋も頑張っていきましょう。

先般より製紙業界や衣料業界において、何やらきな臭い再編・MA等々が新聞紙上を賑やわしているようです。
 製紙業界首位の王子製紙北越製紙に敵対的
TOB(株式公開買い付け)をかけ、二位の日本製紙グループがTOB阻止に動く、二強の攻防が激しくなった背景には国内市場が成熟する中での業界再編が最終段階に入ったということでしょうか。王子製紙によるTOBでは北越製紙経営陣の「自主独立」の訴えが優勢に見えましたが経営者が再編の絵を描きその是非を市場に問うのは決して邪道ではないのです。しかしながら今回の買収劇はどうやら王子製紙のいうTOBは株主も市場も地域地盤も受け入れられなかったようです。

 このような事態が発生したときの判断基準は

@     自主独立経営による企業価値向上が臨めるのか

A     王子との統合による収益増減効果がどのように発生するのか

B     社員や地域社会に与える影響はどのようなものか

このような質的な変化に注目して判断することを我々も学ばないといけません。

 皆さんは『 藤原 銀次郎さんをご存じでしょうか。今、話題の王子製紙が経営的危機に陥ったときに、見事再建させたことで有名な実業家です。今回はこの再建の話の中から抜粋してお話しいたしましょう。


藤原銀次郎

 彼は再建成功ののちに、側近の部下から成功の秘訣を聞かれたとき、その部下に水の入ったバケツとゾウキンを持ってこさせました。そして水に浸したゾウキンをこの部下に一滴も水が出なくなるまで絞れと命じました。柔道有段者でもあったこの部下は渾身の力を込めてゾウキンを絞り、「もうこれ以上、水は出ません。」と言うと、銀次郎はそのゾウキンを受け取り、全体を広げて端の方から少しずつ絞っていったのです。すると最後の方で水が数滴したたり落ちたのです。
 そして、「企業経営もこれと同じで、もうダメだと思っても、小さな努力を積み上げればまだやり方があるのだよ。」と言ったと言われております。

 彼の言葉に「愉快に働く10ヵ条」というものがありますがそれを紹介しましょう。

第1条:仕事を自分のものにせよ。

第2条:仕事を自分の学問にせよ。

第3条:仕事を自分の趣味にせよ。

第4条:卒業証書は無いものと思え。(学歴は関係なし)

第5条:月給の額を忘れよ。
   (そんなことにとらわれていてはいい仕事はできない)

第6条:仕事に使われて、人に使われるな。

第7条:時々必ず大息を抜け(休息も大事)

第8条:先輩の言行に学べ。

第9条:新しい発明、発見に努めよ。

10条:仕事の報酬は仕事である。
                           (縁尋機妙より抜粋)

 如何でしょうか。お互い仕事を楽しくやる心構えが大切であることがおわかりでしょう。それにしても今回の買収劇M&A,TOB、経営者の経営に対する安易で平坦な選択肢を進めているよう見えてなりませんが彼等に藤原銀次郎の再建の苦労話をもう一度聞かせてやりたいものですね。
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