平成19年2月更新 所長の部屋  
 「一年の計は元旦にあり」と申しますが、アッという間に一月も終わりました。寒い日が続きますが、お変わり有りませんか。
 さて、今月は日本経済新聞の1月1日の記事から
トップ経営者の“ものづくりは人づくり”の一部を載せてみましょう。
 日本の「ものづくり」は全体的に弱体化したが、トヨタ自動車はエクセレントカンパニーとして世界をリードしている。同社が「ものづくり」で勝ち組のトップであり続けている強さはどこにあるのか。
 技術革新と市場経済が進む中、これからの日本のものづくり、それを支える 「ひとづくり」に必要なもの、大切なものは何か。取り組むべき課題とは何か。同社の張富士夫会長に語ってもらった。
 受け継がれる文化・価値観
 
     
日本の良さを見直す時期

『現地現物』を大事にものづくり支え続ける

ものづくりはひとづくり。優れたものをつくろうとすれば優れた人をつくることが不可欠です。そのためには時間をかけて人材を育成していくことが必要であり、私どもでは従業員の長期雇用を前提としています。

 ものづくりの心構えとしては、『現地現物』を非常に大事と考えています。自分たちの仕事の結果が表れるのが現場です。これは製造現場に限ったことではありません。いい設計をしたか、いい機械を購入したか、いい人材を採用しきちんと教育したかなど、いずれも現場で成果が表れます。ならば、現場に出向き、自分の目で仕事を確認しなければなりません。そして、もし、うまくいっていなければ、悪いところを直していくのです。この“カイゼン”を皆で一丸となってやっていくことが非常に大切です。

繰り返しの訓練を積み知識が本当の理解となる

先輩から言われた例え話に、ゴルフの本を読んでも、すぐにパープレーができるわけがないというのがありました。仕事も一緒だと思います。「教育」は知らないことを教えてもらうこと。そして、教育で得た知識を体に覚えこませ、本当に理解していくのが「訓練」です。頭の中でわかっていても、はじめは体がついてこないので、繰り返し、繰り返しやってみる。そのうちに、本当の理解につながっていくのだと思います。

 そして、一つの山を乗り越えると立つ位置が高くなります。そこから見わたすと新しい問題が見え、次に進む方向がわかります。一歩一歩高いところに上がっていくことは本人の自信になります。一人ひとりをどんどん高いところに引っ張り上げていく気持ちで、人を育てます。

欧米と日本の価値観・補完し合い伸びていく

 最近、団塊の世代のリタイアによる製造業の弱体化が言われますが、技術や技能の伝承は、今に限らず常に行っていかなければならないことです。きちんとした仕組みを作り、毎年毎年伝え訓練し、しっかりと引き継いでいくことが重要です。
 日本には独自の文化があり、また、企業、個人が大切にしている価値観があります。ものづくりというのは、そのような背景や土壌の上に成り立っているものだと思います。その良さや特徴をよく見極め、大切にしていくことが大事です。

 一方、グローバリゼーションの潮流の中で環境も変化していくので、新しい技術や新たなルールの中から良いものは貪欲に取り入れていくことも大切です。
 例えば、米国人は何もないところから、何かを生み出すのが大変上手で、それを機械化するのがまたうまい。だが、そういうものを使いこなすのは日本人がうまいのです。お互いに補完し合ってやっていくことが大事です。

 新しいものを全部取り入れて、日本本来の良さを無くしては本末転倒です。日本の良さをもう一度、再確認していくこと、そしてそれをベースにしてよいものをどんどん取り入れ、ものづくりに生かしていくことが、日本の強さに直結すると、私は信じています。
                        (日本経済新聞2007年1月1日から)

 日本のトップを驀進する企業はやはりどこか違いますね。
 しかし、じっくり読めば当たり前のことがわかります。それを実行しているか否かが問われているように思いますが、如何でしょうか。
 昨年、当事務所でも9ヶ月にかけて新人教育をやりました。
教育で得た知識を体に覚えこませるには、まだまだ数年はかかります。繰り返し、繰り返しやっていきながら本当の理解にもっていくには経営者とその本人との我慢較べでもあるようです。どんどん高いところに引っ張り上げていく気持ちで人を育てなければならないことが身にしみてわかったような気がします。
    “事務所は人づくりから”・・を挑戦してみます。
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