第 二 回
   印紙税調査喝
!”         14.10/1
さて、今月は、最近税務調査が行われている 印紙税 についてお話し致しましょう。
私の友人で、『今、税務署の調査で苦労しているのだけど、ちょっと力を貸してくれないか。ウチの顧問税理士は一言も意見を言わないし、印紙税は苦手なようなので・・・。』と相談を受けました。
  話しをお聞きしますと、
1. 領収証(受取書)には必ず印紙を貼っているつもりだし、従業員にも徹底させている。
2. 領収証を要らないというお客様には、その領収証には貼らずにのちのちその渡すべき領収証は破棄処分をしている。
3. 今、税務署は収入印紙を年間何枚購入しているか、を調べている。
4. 領収証の控の3万円以上の枚数をチェックしている。
要するに、税務署は購入枚数と、収入印紙を貼付した領収証控の枚数が一致しているかどうかを調べている訳です。当然、お客様が「要らない」と言った分については貼付していないので、この分が収入印紙を貼るべきものを貼っていないから、その分については過怠税をとる。
具体的に申しますと、1年間で購入枚数が1000枚、3万以上の領収証の控えが1200枚・・・200枚の食い違いがあります。200枚は領収証に貼らなかったのですね。・・・ということでしょう。
さぁ、皆さんはこの200枚に対して過怠税を払いますか?
この事例については、問題点が二つあります。
1. 収入印紙を貼るのは何時の時点か。
2. 税務署は推計課税ができるのかどうか。
印紙税法第三条(納税義務者)
 課税文書の作成者は、その作成した課税文書につき、印紙税を納める義務がある・・・・
と定義しています。
では、その作成したとは何を指すのでしょうか?
印紙税法基本通達第44条(作成等の意義)
1. 法に規定する課税文書の「作成」とは、単なる課税文書の調整行為をいうのでなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って公使することをいう。
2. 課税文書の「作成の時」とは次の区分に応じ、それぞれ次に掲げるところによる。
(一)相手方に交付する目的で作成される課税文書
       
当該交付の時
(二)−−−−  省略
(三)−−−−  省略
(四)−−−−  省略
(五)−−−−  省略
税法とは何と面倒臭い書き方をするのでしょう。簡単に申しますと、受取書は相手に渡す時に貼りなさい、渡さないなら貼らないでよろしい。今回要らないというお客様には、貼る必要はないという事です。常識で考えてもわかるように、誰が要らないという領収証に貼る人がいるでしょうか!税務署はこれにも貼って破棄しなさいと云う事でしょうか。
 次に印紙税に推計する余地はあるのでしょうか。法人税・所得税には帳簿不備で推計することも認められておりますが、印紙税にはこの様な規定はありません。課税文書の交付先に対する印紙税の調査により、不納付が確認された文書について過怠税を徴収すべき事なのです。
※「過怠税」とは、印紙税を納付することになっている課税文書に印紙を貼り付けていなかった時、その納付しなかった印紙税額とその2倍に相当する金額との合計額、即ち印紙税額の3倍に相当する過怠税を徴収されることとなる。
 ある時、私の関与先でもこのような推計により、印紙税徴収をされようといたしました。私は即座に「貼っていない文書を見せて下さい。それについては3倍支払います。たった一枚二枚貼っていない受取書を見たからと云って推計するとは何事ですか。この事業者の得意先を全部調べて貼っていない文書(そのゲンブツ)を見て過怠税を支払います。」とお話ししました。1000件の得意先を調べて果たして、100文書位見つけることができるでしょうか。
 しかしながら、故意に納付しない事業者がいるとすれば、これは厳しく納付を迫るべきでしょう。断じて許せない行為です。ただ、納税者には正しく納付する意識はあっても、新人教育の不徹底、忙しさのあまり貼り忘れた等々の行為については、斟酌の余地は有ると思われますが。
私の友人の調査結果は、『領収証控え(3万円以上の分)と印紙購入枚数をチェックしましたが、年間数十枚の誤差は見受けられますが、追加徴収するまではないでしょう。』と云う事で終了したそうです。
 税務署も情状酌量の
イキな計らいをして頂いたようです。
( つ づ く )
次回は、印紙税完結編をお話しします。
@ 税務署の過怠税について誤った殺し文句について
A 調査にだらしない税理士について
B 課税文書と非課税文書について
C 印紙税法廃止を訴えよう!について
では、11月 1 日にお会いしましょう。