20年2月更新 所長の部屋 

早いもので2月。もう正月気分はとれましたか。3日は季節を分ける節分、暦の上
では春なのですね。 さて、今回は素晴らしい冊子に出会いましたのでご紹介いたします。タイトルは“人は徳なしでは成りたたない”著者は大原玉瑞氏・・・この冊子は大原氏が長崎北東ロータリークラブの会長をされた時の一年間の会長挨拶を綴られたものです。そのはじめの“贈呈の言葉”を読むだけで冊子の素晴らしさがわかるようです。全文を紹介しましょう。
    
 
                                    


人は徳なしでは成りたたない

はじめに・・・贈呈の言葉

 私は十三歳の時、家族と離れ離れになりました。日華戦争の一番激しい時でした。それ以来、家族と再会する事が出来ずに今日に至っております。19458月、終戦を迎えた後、私は中国大陸から台湾へ渡りました。そして、ご縁がありまして台湾から日本へ移り住む事になり、現在は日本国籍も取得しております。

 八十歳近い私が受けた教育は勿論古い教育です。現代の教育とは比べものにならない厳しい道徳教育があったと思います。私の言行の理念は幼年時代からのこの古い厳しい道徳教育が基礎となっておりますので、今でも悪い事は考えるだけでも恐ろしいのです。
                     

時代は変化しました。今の世の中、毎日のように凶悪な犯罪や事件が起こっています。何故ですか?安心、安全、楽しい暮らしがしたい、誰でもそう望むでしょう。でも今の社会現状の中、それが出来ますか?自信がありますか?一体この先どうなるでしょう!

 困惑の中、私は平成18年(2006年)7月から国際ロータリー第2740地区、長崎北東ロータリークラブ会長に就任しました。大変な事になりましたが、この一年の任期をどのように全うしようか大変悩みました。毎週一回の例会、会長挨拶があります。話し下手の私にとって苦手な事です。

 そこで考えました。「スピーチの内容は今まで生きてきた七十余年の人生体験から話題に事欠かないけど、それを皆様に正しく伝えるには、原稿を書いて読むようにした方が良いのではないだろうか?」と。しかし、文章全体の作成も私一人では難しい事でした。幸いにも家族や社員の方が協力してくれたお陰でなんとかやってこられました。

 テーマの中心を『徳』に決定しました。何故なら、私は日華戦争中、家族と別れ孤児同様、団体生活の中、教育を受け成長してまいりました。同期、師長、上官方の教えのもと、お世話になりながら、お陰様で生きてまいりました。私の周りの方々からいただいた『徳』のお陰で今まで生きてこれたと思っています。故に、『徳』とは、私が一番大事にしたいことなのです。私が両親、兄弟などの縁があまりないのは、この『徳』が欠けているのかもしれない。『徳』の大切さを、先ずは、私の周りから周知していただくことで、先輩、同輩の方々に感謝と恩返しの志、そして、親不孝の罪が少しでも軽くなるかもしれない。そんな思いの中、四十数回の『徳』を皆様に勧めて参りました。毎回、皆様にご清聴いただきましたこと、本当に感謝申し上げます。私が受けてきた古い道徳教育、真面目、正直を皆様と一緒にもう一度考えてみたかったのです。そして、毎回スピーチの結論は “人は徳が無ければ成り立たない”でした。
                                        

 ロータリークラブは親睦、奉仕の社会団体です。綱領の中、「事業および専門職務の道徳的水準を高めること」を要求されております。微力な私がこの一年間やってこれましたのは勿論、会員の皆様のお陰でございます。そして、もう一つの力は『徳』を人さまに勧めることによって何か目に見えない力が働いたような気がしています。

『徳』は人さまに勧めるだけでよいのです。なぜなら、人さまに勧めるうちに自分もそうせざるを得なくなりますし、そうすれば、目に見えない御加護が必ずいただけると確信する事ができたからです。

 今ここに、これまでの私の人生の自省を含めて、この一年間、四十数回の話を取りまとめ冊子にいたしました。プレゼントとして、お客様、会友の皆様、友人達に差し上げたく、内容の大半は、私の人生観、経営理念、言行の指標とも言えます。不適当なところがあると思いますが、皆様のご指導、心よりお願いと期待をいたしております。

 また、この場をお借りして、協力してくれた家族と社員の方々にも、深く感謝申し上げます。ありがとうございました。

 最後に、もうひと言、申します。 人は徳を常に忘れず、何事にも徳のことを考えて、言行の中に浸透して遂行すると、きっと輝かしい人生になると確信いたします。 どうぞ、ご参考下さい。誰かのために少しでも役に立てたのであれば幸いに存じます。 貴方(女)様のご多幸をお祈り申し上げます。                        敬白

                平成二十年(西暦2008年)元旦 
                    大原玉瑞(王 英瑞)

贈呈の言葉を読むだけで、大原氏の実直さが感じられます。氏とは長いお付き合いをさせていただいておりますが、まさしく、この徳を実践している方であり、人生の師として私は尊敬しております。
 冊子の内容は@健康A善徳B音読C一日一善・・・46回目が酒徳で終わっていますが、書店の人生論等々の書籍よりもこの一冊が価値のある人生訓と感じるのは私だけではないと思います。残念ながら非売品ですのでお読みになりたい方はどうぞ事務所までご連絡ください。
所長の部屋
目次へ
TOPへ戻る