20093月号

 去る、111日、この税理士業界で最も尊敬する太田隆良税理士先生がお亡くなられた。
 先生は税法全般の奥義を極め、われわれ税理士を対象として“税理士をホンモノのプロに”育てようと九州各県で税法研究会を開設され、広く講義・研修指導に尽力していただきました。
 


 税理士試験に合格して未だ経験の浅い方、税務署OBの方々、そして我々中堅・老齢の税理士に対して、まさに敬天愛人の教えである「天地自然に従い、誠の道を大切に守りつつ、人々を分け隔てなく愛することが学問する目的である」かのごとく、税法のすべてをご教導いただいたのでした。

 あるとき、私の関与先が税務調査を受け、権力を傘に不当に更正処分してくる課税庁に対して、数多くのアドバイス・ヒントを戴き、後日、課税庁が撤回してきたときほど、税法の奥深さ、税法の解釈について思い知らされたことはありませんでした。
 

 実務面での教えがどんなに役に立ったことか・・公正妥当・・社会通念上・・租税正義の実現・・公正な立場・・
税理士に必要な条件・法理論等々を懇切丁寧にご指導賜りました。

  2月6日、500名近い友人・知人そしてわれわれ教え子が参集して「お別れの会」があり、そこで僭越ながら弔事を詠む機会を得ました。
 今月は太田先生を偲びお別れの言葉を述べさせていただきます。



弔辞

 長崎税法研究会を代表いたしまして 謹んで お別れの言葉を 述べさせていただきます

先生の急逝の知らせに 私たち税法研究会一同は 一様に驚愕の体であり 未だこの事実を 受け入れることができません 

今 ここに集いし教え子 同胞 仲間は このような『お別れ会』ではなく 先生の あの元気な姿での講義を 拝聴しようと 先生のご登壇を 今や遅しと 待っている 私たちです このような私たちを・・・ 太田先生 天国の彼方から わかって頂けるでしょうか


 思えば 平成四年より今日まで 会計人として租税に関する研究と実務において その半生を 捧げてこられた太田先生を囲んで 私たちは租税全般の ご指導を賜りました
 特に実務面では 私たちが 不得手としている諸問題に対し 公正な立場から 租税正義の 実現を図るという 公共的使命や 税理士の果たすべき役割を 的確に 迅速に 理論的にご指導いただいたこと そして講義終了後の居酒屋でのひととき このひとときの中に 数々のヒントや 事例・判例が 飛び交い それが希望の光として融合し 私たちは力強い勇気をいただきました 太田先生 本当にありがとうございました


まだまだこれからも 先生の下で 勉強したかった私たちでございます
 誠に心残りであり 辛く悲しいお別れでございますが この上は 先生の租税教育・租税全般に対する情熱とそして気迫を・・・私たちは先生のそのご遺志を受け継ぎ 九州合同税務会計の皆様と共に 発展させることを お誓い申し上げ 御霊の安らかならんことを祈り 生前のご指導に対し 深い感謝の心を捧げ 弔辞といたします

 

   平成二十一年二月六日

                         長崎税法研究会

                             田中 紀男

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