21年4月更新 所長の部屋


 桜前線も北上中、いよいよ春爛漫、いい季節になりました。先だってより世界一の座をかけてのWBC野球では侍JAPANが見事に二連覇の偉業を達成し、甲子園では高校野球春の選抜大会も佳境を迎えています。

 しかしながら、世界の経済状況を振り返りますとまだまだ閉ざされた真冬の感じがしてなりません。中小・零細企業の業況不振は厳しく、当関与先の中でも解散、倒産、廃業が相次ぎその整理に追われている状況です。

 このような時こそ経営者の資質が問われ、堅固な意志をもって立ち向かっていかなければ解決できないようです。

 
 今回は鹿児島生まれの京セラ名誉会長・稲盛和夫氏著の“人生の王道――西郷南洲の教えに学ぶ”をご紹介しましょう。

 氏は子供の頃から西郷隆盛を敬愛し続けてこられました。そんな氏が世情の乱れてきた今こそ西郷の精神の復活が必要だとして、彼の生前の言葉をまとめた『南洲翁遺訓』全41条を解説されたものである。

『南洲翁遺訓』からは、人間が正しく生きるための普遍的な哲学を学び取ることができる。・・・その解説の中から経営に役立ついくつかを抜粋してみます。

『南洲翁遺訓』より・・稲盛和夫解説
 
トップに立つ人間の私心が露わになった時、組織はダメになる。
 集団を統率していくリーダーは、「無私」の姿勢を貫き通さなければ ならない。


 「トップは、強いリーダーシップを持つと同時に、一方では謙虚さを兼 ね備えていなければならない。そして、局面に応じて、その両方を正 しく使い分ける必要がある。」

 
 「利を求める心は、事業や人間活動にとって必要だが、その欲が過ぎて はいけない。利己が過剰だと、いつか破綻を迎えることになる。」

 「人は成功し偉くなるにつれ、謙虚さを失いがちである。没落への引き 金を引かないためには、常に自分にうち克ち、自分を慎み戒めること が大切である。」

 「策略で勝ち得た成功は、長続きしない。こちらが裏をかけば、そのま た裏をかかれるだけだ。そんな小賢しい策略を巡らせることよりも、 ただ一生懸命に自分のなすべきことを貫くことが大切である。

 「リーダーの資質として、人格は才覚にもまして重要な要素である。そ の人格を高めるためには、素晴らしい哲学を繰り返し学び、常にその 実践を図るよう努める必要がある。」

 「正道を貫けば、必ず困難に遭遇する。だが、どんな難しい局面に立っ ても、そのことの成否にこだわるべきでない。事がどうなろうとも、 それを楽しむくらいの境地にならなければ、正道を貫き通すことはで きない。

                “人生の王道”・・稲盛和夫著より


この書籍は第
1章から12章にわたって無私・試練・利他・大義・大計・覚悟・王道・真心・信念・立志・精進・希望からなっております。
発行は日経BP社、経営に役立つヒントとして是非、購読をお勧めいたします。




世情乱れるときは心静かに哲学書・論語等を読むと気持ちが落ち着くものです。私はなかでもこの一句が大好きですのでご紹介しましょう。

       “誠心正意 修身斎家 治国平天下”・・・孔子

     ○古(いにしえ)の明徳を天下に明らかにせんと欲する者は、まず
     その身を治む。
     〜その国を治めんと欲する者は、まずその家を斎(ととの)え、
     〜その家を斎えんと欲する者は、まずその身を修む。

    ○かつて英明な徳を天下に明らかにしようとした者は、まず一国の
     名君としてその国を治めた。
     〜一国を平安に治めようとした者は、その前に一家の長として、
      その家族をよくまとめた。
     〜家族をよくまとめようとした者は、それよりも前に自らを律し
      修めた。
     〜その身を修めんと欲する者は、まずその心を正す。
     〜その心を正さんと欲する者は、まずその意を誠にす。
     〜その意を誠せんと欲する者は、まずその知を致す。
     〜知を致すものを格(ただ)すにありき。」

今の政治家たちに紹介したい一句ですね。ねぇッ!麻生さん!小沢さん!

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