−がしんしょうたん−
■意味
たきぎの上に寝て、苦いきもをなめる。
1.かたきを討つため、自分の身を苦しめてその志が衰えないように励ますことのたとえ。
2.目的を達成するために苦労に耐えることのたとえ。
■構成
漢文訓読では、「薪に臥して胆を嘗む」と読む。「臥薪」は、たきぎの上に寝ること。「臥」は、横になる。「薪」は、たきぎ。「嘗胆」は、苦いきもをなめること。「嘗」は、なめる。「胆」は、内蔵の一つ、胆嚢
■故事
中国の春秋時代、呉王夫差は、父の仇である越王句践を討つという復讐心をかきたてるため、薪の上に寝起きするという苦しみを自らに課し、ついに会稽山の一戦で句践を破り降伏させた。ところが、夫差に敗れた句践は、その恥を忘れないために苦い胆を身近においてなめ、苦心の末に夫差を滅ぼしたという故事による。また、「臥薪」「嘗胆」ともに越王句践の故事とする説もある。
■出典
・夫差 讎を復せんと志し、朝夕薪中に臥し、出入するごとに人をして呼ばしめて曰はく、夫差、 而越人の而の父を殺ししを忘れたるか、と。 <十八史略、春秋戦国、呉>
・呉既に越を赦す。越王句践国に 反り、乃ち身を苦しめ思ひを焦がし、胆を坐に置き、坐臥するごとに即ち胆を仰ぎ、飲食するにも 亦た胆を嘗むるなり。曰はく、 女会稽の恥を忘れたるか、と。 <史記、越世家>
■用例
あまりにも腕前の差がひどかったならば、その時には 臥薪嘗胆、鞍馬山にでもはいって一心に剣術の修行をする事だ。 <太宰治、お伽草子>
■類義語
坐薪懸胆
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