平成15年度の税制改正
   /確定申告のポイント!


 いよいよ、15年分の確定申告の時期になりました。
ここで、今年の改正内容を6つのポイントに分けてご説明させて頂きます。


 1.住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の要件緩和

★住宅借入金特別控除とは?
個人が金融機関からの借入金により住宅を新築、購入、増改築する場合で、一定の要件を満たすことにより、年末の借入残高に応じて、税額控除が受けられ税金が戻ってくるという制度です。

★ここが変わった!

 改正前の平成15年1月31日までは、適用を受ける各年の12月31日まで当該住宅に引き続き居住していることが要件となっていました。その為、転勤などやむを得ない事情で居住しなくなった場合、転勤中はもちろん、再入居した場合も適用を受けることが出来ませんでした。
今回の改正では、このような事情で一旦転居し、再入居した場合には一定の要件のもと、控除の再適用を認めることとなりました
基本的には再入居した年以降の各適用年について控除の再適用が受けられますが、転勤中賃貸の用に供していた場合などは、再入居した翌年以降の各適用年について控除が受けられます。







  2.配当課税の見直し

★ここが変わった!

(1)上場株式等の配当等に対する源泉徴収税率の特例の創設
平成15年4月以降に支払いを受ける上場株式等の配当等について、源泉徴収税率を20%(所得税15%、住民税15%)に軽減。
さらに、平成15年4月1日以降平成20年3月31日までの間に支払いを受ける配当等に係る税率は10%の優遇税率が適用されます。

(2)上場株式等の配当等に係る申告不要制度の適用上限額の撤廃
1回の配当等の金額が5万円以下の少額配当については、確定申告は不要とされていますが、この内、平成15年4月1日以後に支払を受ける分については、1回の支払金額の上限額が撤廃されました。

(3)株式等に係る配当所得の35%の源泉分離課税選択制度の撤廃
平成15年4月1日以降株式等に係る配当所得の35%の選択制度は平成15年3月31日をもって廃止されました。







  3.株式等の譲渡所得の税率の改正

★ここが変わった!

(1)申告分離課税率の引き下げと特例の創設

税率は譲渡益に対して26%であったものが平成15年1月1日以後に上場株式を譲渡した場合には原則として20%になりました。(優遇税率10%)なお、上場株式等以外の株式の譲渡益に対する税率は26%のままです。

(2)継続される緊急投資優遇措置
下記に3つの条件を満たした場合、購入代金1,000万円までの株式がどんなに高騰してもすべて非課税にする。
@平成13年1月末から平成14年12月末までに取得
A平成15年から平成16年は保有継続
B平成17年から平成19年の3年間に売却

(3)譲渡損失の繰越控除制度の創設
平成15年1月1日以後に上場株式を譲渡したことにより生じた損失の内、その年に控除しきれない金額は、翌年以後3年間に渡り繰越控除出来ます。





  4.贈与税と相続税の改正

 今回の改正では、生前の贈与をしやすくするために、贈与税額の非課税枠が大幅に拡大されました

★ここが変わった!

新しい贈与税の仕組み  ※どちらか選択
非 課 税 枠 110万円 2,500万円
(1年あたり) (年数の制限なし)
非課税枠を越えた部分に対する税率 金額に応じて    一律20%
10〜50%
適用を受けるため
の条件
    特になし 65歳以上の親から20歳以上の子への贈与であること
贈与を受けた資産と相続財産の合算      な  し     あ  り
非課税枠の贈与の
場合の税務申告
     必要なし     必  要

 この新しい非課税枠を利用した場合の贈与税の特徴は、贈与の後に親が亡くなって資産を相続したときに、生前の贈与税と相続税が一本化されるです。すなわち、相続の時はそれまでに贈与を受けた財産と相続で受け取る財産を合計して相続税額を計算し、そこから既に支払った額を差し引いて納めます。贈与税額が相続税額を上回った場合は、その差額を返してもらえます。
なお、贈与税と相続税については、最高税率がこれまでの70%から50%に引き下げられ、金額による税率の区分もこれまでと同率か、引き下げとなりました。この改正は、平成15年1月1日以後の贈与・相続について適用されます。


住宅取得のための贈与税特例も拡大  ※どちらか選択

     現行の特例 新しい特例
非課税枠 550万円 3,500万円
適用を受けるため
の条件
●自分の父母、祖父母からの贈与であること
●贈与を受けた年の所得が1,200万円以下であること
●過去にこの特例を受けたことが無いこと等
●自分の父母からの贈与であること
●贈与を受ける人が20歳以上であること等
贈与を受けた資産と相続財産の合算      な  し     あ  り
適用を受けられる
期間
  平成17年末まで 平成15年1月から   平成17年末まで 








  5.少額減価償却資産の必要経費

★ここが変わった!

この制度は、法人税法で「10万円未満」とされている少額基準を、租税特別措置法により、中小企業を対象として期限付きで「30万円未満」に引き上げたものです。

青色申告書を提出する法人又は個人が、平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間に取得価額が30万円未満である減価償却資産=「少額減価償却資産」の取得等をして事業の用に供した場合には、その日を含む事業年度において、その取得価額に相当する金額につき損金経理を条件に一時の損金算入を認めるというものです。




  6.IT投資促進税制

★ここが変わった!

「青色申告書を提出する法人・個人」が、平成15年1月1日から平成18年3月31日までの間にパソコンやサーバー等の情報通信機器等(資本金3億円以下の会社は140万円以上)又はソウトウェア(資本金3億円以下の会社は70万円以上)を取得し事業の用に供した場合には、平成15年4月1日以後に終了する事業年度において、特別償却(取得価額の50%)又は特別税額控除(取得価額の10%、法人税額の20%相当額を限度、1年間繰越可能)を適用することが出来ます。

※以前のパソコン税制と比べ適用範囲が幅広いIT機器を対象、また金額も100万円未満という条件が無く、特にソフトウェア製品が認められた点が大きなポイントです。




その他のポイント!

「医療費控除」に該当しない医療費とは?

1.容姿を美化し、容貌を変えるなどの目的で支払った整形手術の費用

2.健康増進や疾病予防などのための医薬品の購入費

3.人間ドックなどの健康診断費用(但し、その結果重大な疾病が発見され引き続き治療を受けるときの費用は除く)

4.親族に支払う療養上の世話の費用(謝礼)

5.治療を受けるために直接必要としない近視、遠視のための眼鏡、補聴器等の購入費

6.医師や看護師に支払う謝礼

7.通院のための自家用車のガソリン代や駐車料金(病院に怪我人を運ぶ料金等は医療費控除の対象)

8.出産のために実家に帰る交通費 など

 ※お役立ち「必見」の15年3月分「該当する医療費」を詳しく説明してありますので、こちらもご覧下さい。



災害、盗難による被害を受けた場合


 納税者本人及び納税者本人と生計を一にする配偶者その他の親族

(その年分の総所得金額が38万円以下である者)が災害、盗難又は横

領によって資産に損害を受けた場合
災害等に関連してやむを得ない

支出をした場合
には、決められた算式によって計算した金額について

所得控除を受けることが出来ます。

詐欺や脅迫による損失、保証債務の履行による損失等は該当しません。

なお、一定の場合によって、雑損控除の適用を受けず、災害減免法の

適用を受けることが出来ます。

参考資料:
 

 
税のしるべ(第2630号)
税制改正